眼科診療

お子様の近視抑制治療

低濃度アトロピン点眼とは

近視の進行を食い止める予防治療です

治療の対象は?

学童期の子供さん
6歳~12歳くらいまで
(12歳過ぎた方でも御相談ください)

どんな治療?

点眼薬を1日1回
寝る前に点眼します

近視の原因は・・・?

  • 最近うちの子供の近視が進んでいる
  • 自分(親)が近視だから、子供も近視になるのか心配だ
  • 近視をできるだけ軽くで止める方法はないのか

近視の原因には、遺伝的な要因環境的な要因が関係すると考えられています。
今や日本は近視大国。
パソコン、スマホ、ゲーム、漫画など(もちろん勉強も)、近くを見ることが多く(近見作業)、生物としては適応が働きますので、近視になろうとする力が働きます。
これが環境的な要因となります。
一般的に近視が始まるのは、学童期(6歳から12歳ごろ)です。
近視の進行とはすなわち眼軸の延長(眼が前後方向に延長し、奥行きが増す)と言い換えることができます(軸性近視といいます)。
一旦眼軸が延長してしまうと元に戻すことは難しく、これが自然には近視が治らない原因となっています。

また、近視が進行して高度近視になってしまうと、将来さまざまな眼の疾患にかかってしまうリスクが上昇してしまいます。緑内障、網膜剥離、変性近視、近視性黄斑症などの視力・視野に重大な影響を及ぼすような疾患は、高度近視眼ほどなりやすいと言われています。実際我が国での失明原因の中でも強い近視が原因になっている割合は高く、社会的損失という意味からも近視の予防を行うことは重要であります。

近視の予防について

それでは近視が始まる学童期になんらかの治療をすることによって、近視の進行を予防できないのでしょうか。
学童期における近視の進行予防には、科学的なデータがある方法として以下のようなものがあります。

眼鏡による方法
  • 累進屈折力眼鏡
  • 軸外収差抑制眼鏡
コンタクトレンズによる方法
  • 多焦点コンタクトレンズ
  • オルソケラトロジー
薬物による方法
  • ピレンゼピン塩酸塩眼軟膏
  • アトロピン硫酸塩点眼

この中で最も効果の強い方法はアトロピン硫酸塩点眼ですが、アトロピンは普段1%の濃度で使用されており、この方法では、散瞳による羞明(まぶしさ)、調節麻痺による近見障害(近くがピンボケで見えない)、眼のアレルギーを起こすなどの副作用が強く、長期間継続して使用するのは困難であります。
しかしながら、2012年に近視が社会問題になっているシンガポールの国立眼科センター (Singapore National Eye Center) から、低濃度のアトロピン(0.01%)でも1%と同様の強力な予防効果が得られた、との報告がされました(参考文献1)。

これはOphthalmology誌という眼科の臨床研究では世界最高峰の雑誌に掲載された画期的な論文です。内容を詳しく御説明致します。

この報告では対象が5群に分かれています。グラフの縦軸は近視の強さを表しており、マイナスが大きいほど、近視が強いという意味です。プラセボ群(偽薬による対照群)が179名でグラフの△のラインです。2年間の経過で、平均-1.20D近視が進行しています。

対してAと書かれたラインがアトロピンを点眼した群で、濃度によって1.0%、0.5%、0.1%、そして0.01%と4群に分かれています。それぞれ、167名、139名、141名、75名の子供さんが2年間治療を継続した結果を示しています。

1.0%アトロピン点眼群(▲のライン)では、ほとんど近視が進行していないという恐るべき効果が出ていることがわかります。0.01%アトロピン点眼群(○のライン)では-0.49Dの進行ということで、プラセボ群に比べますと、約60%の抑制効果が得られています。これでも素晴らしい効果で、現存する近視進行予防の治療方法の中では突出して高い効果です。

さらに0.01%アトロピンは低濃度である分、副作用も軽微であり、まぶしさや近見障害を訴えることはなく、軽度の遠方視力低下(全症例の13%)があるくらいでした。

その後2015年になって我が国でも、低濃度アトロピン点眼の副作用は軽微で実生活に影響を与える程度ではなく、継続使用が可能との報告がなされています(参考文献2)。現在日本の7つの大学で臨床試験が始まっています。

参考文献1: Chia A et al. Atropine for the treatment of childhood myopia; safety and efficacy of 0.5%, 0.1%, and 0.01% doses (Atropine for the Treatment of Myopia 2). Ophthalmology 119: 347-354. 2012.
参考文献2: 西山他. 低濃度アトロピン点眼の副作用について. 日眼会誌 119: 812-816, 2015.

最先端の近視予防治療をクリニックで!

当院では学童期の子供さん(6歳から12歳くらいまで)を対象に、平成28年3月より低濃度アトロピンの点眼治療を開始しております。
(12歳を過ぎた方でも、御相談に乗ります)

点眼薬は1日1回寝る前に点眼してください。
寝る前以外に点眼しないでください。副作用が出る可能性があります。
1本の使用期限は1ヶ月です。1ヶ月過ぎたら余っても捨ててください。
使う時以外は冷蔵庫で保存してください。

さらに当院ではコンタクトレンズ装用による近視回復治療、オルソケラトロジーを行っております。
オルソケラトロジーにも小児の近視の進行を抑制する効果があることが報告されており、低濃度アトロピン点眼と併用することも可能です。

現在オルソケラトロジー治療を受けている子供さんは、低濃度アトロピン点眼を併用することにより、理論的には現代最高の近視抑制効果が得られる可能性があります。
ぜひ、御相談ください。

ページトップへ

湘南むつうら眼科・美容皮膚科

Copyright©   ヨーダー公子クリニック眼科・美容皮膚科. All rights Reserved.